ながの金融広報だより 第169号 2024.春

 


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2024年度「金融経済教育研究校」を指定しました

    当委員会では、新しい時代を生きるうえで必要な資質・能力を確実に育むことを目指し、児童、生徒の発達段階に応じた「金融経済教育」の研究・実践を支援するために、毎年、「金融経済教育研究校」の指定を行っています。
    今年度は新たに3校を指定し、下記の5校が研究校として研究活動に取り組んでいます。

小学校 中学校 高等学校
長野市立戸隠小学校 松本市立鎌田中学校
<新規>
長野県下高井農林高等学校
白馬村立白馬北小学校
<新規>
松本市山形村朝日村中学校
組合立 鉢盛中学校
<新規>

金融広報アドバイザーの竹内京子さんが「金融知識普及功績者」として表彰されました

(左から竹内さん、山本副会長)

        当委員会の金融広報アドバイザー 竹内京子さんが「2023年度金融知識普及功績者」として表彰され、副会長の日本銀行松本支店 山本支店長より表彰状が授与されました。
    「金融知識普及功績者」は金融庁及び日本銀行が、金融及びその背景となる経済についての教育活動をより一層推進するため、国民の金融に係る知識の普及・向上に功績のあった者及び団体に対して表彰を行っているもので、2023年度は12名、3団体が表彰されました。
    竹内さんはCFPの知識を活かし、長野県内の大学や高等学校・専修学校のほか県民を対象に、それぞれの対象に合わせたライフプランやマネープランについての講義を数多く行っています。



「金融経済教育推進機構」(略称 J-FLEC)が設立されました

        2024年4月に、官民一体となった金融経済教育を推進するための中立的な組織として、「金融経済教育推進機構」が設立されました。
    設 立:2024年4月5日(本年8月より本格稼働予定)
    根拠法:金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(2024年2月1日施行)
    目 的:適切な金融サービスの利用等に資する金融又は経済に関する知識を習得し、これを活用する能力の育成を図るための教授及び指導(金融経済教育)を推進すること。
    現在当委員会が行っている講師派遣事業は、本年10月以降の派遣希望分からJ-FLECが主に運営することとなり、その受け付けはJ-FLECが8月から開始します。
(9月までの派遣希望分は当委員会で受け付け、講師を派遣します。)
    10月以降の講師派遣を希望される場合は、J-FLECに直接お申し込みください。
    なお、ご不明な点は当委員会にお問い合わせください。


コラム ~信州の風~
学校教育における「金融経済教育研究校」活用のススメ

        長野県金融広報委員会における県内の学校に対する金融経済教育の支援活動の一つとして、「金融経済教育研究校」事業があります。
    この事業は、当委員会が研究校を指定し、幼児・児童・生徒の発達段階に応じた、学校の金融経済教育の研究・実践を支援するもので、昭和44年から行われていますが、近年、金融経済教育が学習指導要領に盛り込まれるなどその関心の高まりから、にわかに注目を浴びています。今年度は、昨年度からの継続校2校(北信の小学校1校、高等学校1校)、新規校3校(中信の小学校1校、中学校2校)の計5校を指定しています。いずれの学校からも、この制度を積極的に利用したいとの強い希望が寄せられています。
    研究校の指定期間は原則2年です。初年度は、まず、当委員会からの制度の概要や経費の請求方法等のガイダンスを実施し、研究活動計画を作成します。その後、関係経費については事前申請により助成を受けるほか、当委員会の教材の提供や専門家講師派遣のサポートを受けることも出来ます。講師派遣では、金融経済分野の授業を行ってもらうものや、自らの授業を教職経験者の講師にみてもらい助言を得るというユニークなものもありました。教員自らのリスキリングの面でも、金融経済教育スキル向上のためのセミナーやeラーニングが用意されているほか、関係費用も助成されます。2年目の年度後半には他校教員等の校外関係者を含む公開授業として、その研究成果がお披露目されます。公開授業後に設けられる関係者との意見交換の場でも、授業を通じた生徒のより良い学びに向けた気付きといった教授法にかかる有益な情報の共有がなされています。また、これらを含む最終的な研究成果は、全国の教員が共有できる仕組みが整えられています。
    最近の県内の研究校における公開授業一例では、働くこと収入を得ることを学ぶ授業の一環として、商品の価格を学ぶものがありました。授業は、生徒が作成した装飾品の価格を決めるのに、市販されている同種のものと比較して、美しさ等の差異を比較し、その改善点を洗い出し、最終的な完成度に応じた値段を確定させるというものです。生徒は大人顔負けの建設的な意見交換を行い、「商品・サービスを通じて世の中に貢献し、その付加価値を基にした収入を得る」という家計管理の基本を活き活きと学んでいました。
    また、ある学校では、疑似的な家計のグループに分かれ、生活設計・マネープランゲームを行う授業がありました。ゲームはグループ内で活発に意見交換して選択することで進められ、最終的に導かれた結果は正解があるものではなく、その家計のライフプランの収支評価と幸せ度の評価に表され、この結果を生徒それぞれが省みるというものです。各グループの評価は、貯蓄はできたけれども幸せ度数は低いとか、その逆があるなど区々でしたが、それぞれがその結果を受け止め、自分はどうありたいかを考えていました。ここでも印象的でしたのは、こうした学びを通じ、金融経済教育の意味を自分事として捉え、また、それぞれの立場でお金は活かすものということを学んでくれている様子が窺えたことでした。
    これら研究校で展開される公開授業に共通して言えることは、何れも子供達の主体的な学びに努め、それぞれが自分事として捉え考える学びが活発に行われていたことです。また、公開授業の際には、著名講師を招いての講演会も助成により行うことができますが、授業で学んだことと講師の自己の経験に基づくメッセージを受けて、子供達からの心を揺さぶられる言動は、その深い学びに繋がっていることが窺えるものばかりでした。
    かつて、全国一多いとされていた信濃国の寺子屋でも生きる力を育む実践的な教育がなされていました。和算における複利についてもそうです。現代の金融経済教育でもこうした複利の概念を学びますが、その学びに通底するのは、個人・家計における金融経済に関する基本となる道理を理解し、金融商品の選択等の適切な判断に導く実践的な知恵を学ぶということです。
    お金に使われるのではなく自らの夢の実現に向けてお金を主体的に使う力を確り育むという、金融経済教育への子供達の関心は我々大人が思う以上に高いものです。こうした子供達の期待に応える先生方を物心ともに応援する、この「金融経済教育研究校」制度をご活用いただくことをおすすめします。

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